Extra Territorial Reality――領土外の実在性

岡崎乾二郎ゼミ
自由応用展覧会
2008年9月1日−13日

Part 1
相澤秀人
木村豪宏
舟越淳
村山伸彦

Part 2
梶原あずみ
高木生
西浜琢磨
林利浩

林利浩
《無題》

林利浩の作品は、複数の薄い木の板を組み合わせた立体作品である。所々、板の面々には色が塗られている。

まず見てとれるのは、その作品の見てとれなさである。つまり、作品鑑賞のための視点の入り口がわからないのである。よって林の作品と対面するとき、まず観者はしばらくの間、導入部を探りながら作品の周囲をウロウロするハメになる。そんなことになるのは、作品を構成する板の表裏のわからないことが原因だ。つまり、どこが外面でどこが内面かわからないのである。

ところで通常人の肌は外気にさらされている。そして内臓は目に触れられることもない。いくつかの例外を除いて。そんな例外の一つに唇がある。確かに内臓色をしている。内側が外皮としてめくれあがってしまったかのようだ。

林の作品鑑賞の入り口は、まずウロウロとその唇を探すことから始まる。つまり内と外の境界を探すことである。しかしながらその境界線は簡単には見つからない。見つからないのでまたウロウロする。

林は所々に塗られた色面により、木材の面としての機能を剥ぎ取り、隣り合う色面、重なり合う色面、対面する色面の関係によって成り立たせたその構造は、内と外の境界を曖昧なものにし外部を内部に取り込むことに成功している。

まさにExtra Territorial Reality(領土外の実在性)を獲得した作品と言えるだろう。[村山伸彦]